船舶が建造されると、船名(名前)をつけて船籍港(本籍)を定め、国の機関に登記及び登録をする。日本で行えば日本国籍というわけである。
日本国籍となると当然、国内において権利義務が生じてくる。日本国籍の船舶は国内の港間を自由に寄港することや貨物の輸送ができ、日本の国旗を揚げることができる。又、固定資産税など納税義務や、船舶検査など国内の海事法規に縛られる。
2. 次に国内の港間の輸送(内航)には、外国人労働者は在留資格の問題もあり、日本人の船員を配乗するのが原則である。外国航路(外航)については、日本をはじめ殆どの先進海運国では、自国の船員や自国が承認する海技免状等を持った船員の乗船を義務付けている。
3. しかし、先進諸国の船員は賃金が高く、より低賃金の発展途上国海運とは、価格競争上太刀打ちできない。そこでこうした国籍要件などが緩やかで税制面でも優遇されるいわゆるタックスへブンといわれる便宜置籍国へ船籍を移す動きが戦後から現在においても続いている。パナマ、リベリアなどが便宜置籍国として代表的である。
当初は主に海運会社の税金対策として活発におこなわれていたが、1970年代頃からは、船員の賃金コストの削減が主な目的となってきている。しかし、その弊害もあり、外国人船員のコミュニケーションのまずさや、船員の質の低下による海難事故が多発するなどがある。
4. 最近では船舶の近代化により、大型化にもかかわらず必要船員は少なくなり、また、自国籍船と便宜地籍船とを組み合わせた自国商船隊を構成する傾向にある。海運会社は厳しい国際競争サバイバルの中で、以前、便宜置籍船にたよらざるを得ないのが現状である。


